企業本紹介:『逆境経営』(ダイヤモンド社)

成功事例

逆境経営
桜井博志
ダイヤモンド社

今回は純米大吟醸「獺祭」で知られる日本酒メーカー旭酒造の桜井社長の著作、逆境経営を紹介します。

本書はテレビ東京「カンブリア宮殿」で特集された後に発売され、書籍としてもヒットを記録したようです。
Conteが分類する企業コンテンツの種類のうち、こちらは「経営者の想い」を中心に書かれた好例です。

では、本書で注目すべきポイントを解説していきます。

注目ポイント1)時系列ではなくテーマごとに記事をセレクト

日本酒はメーカーの経営理念によって、その製法や売り方などが大きく異なる性質があるようです。
つまり、経営者が何を考えているかが大きく現れる企業体だということです。

旭酒造は大ヒット商品を持ちながらも、流行に流されずに一定の品質を届けることを理念としており、過度なブランディングやイメージ戦略などをしない、という強いこだわりを持っています。

そのため、本書では「桜井社長のこだわり」をとにかく列挙し、その具体的エピソードを1つ紹介する、というスタイルをとっています。

本書はまえがきにあるように、桜井社長のブログや新聞からのインタビューをもとに再構成されたとあるため、執筆の方法が本書の構成に関係しているのもあるでしょう。

時系列ではないぶん、順序が混乱し、同じ言葉が二度解説されるなどの弊害もありますが、伝えたい「企業理念」をはっきりと根拠立てて示すことができています。

注目ポイント2)誤解されやすい点を強調

日本酒という製品の特徴を本書では何度も丁寧に解説していることがポイントかもしれません。
法律で定められた製法のなかで、どの程度精度を高めるか、どういった製品を用いるか。

完成物しか見えない以上、消費者はその製造過程を信用するしかありませんが、
「これだけ売れているのに、手を抜いていないのか」
「事実と異なる製法や、質の悪い原料をつかっていないか」といった疑いの目を持ってしまうのも消費者の常。

この本ではそうした「誤解されやすい点」について、少し強めに強調することで、
信頼を獲得しています。

注目ポイント3)ありがちな失敗を次々と解決

本書の前半部では、桜井社長が父親から譲り受けた旭酒造を立て直すべく、行き当たりばったりともとれるアイデアに挑戦するもことごとく失敗…というストーリーがテンポよく続けられます。

本書は分量が多いのですが、最初にこういった「短い起承転結」を意図的に繰り返すことで読む人が自然に本書を読み進められるような工夫がなされています。懇意にしていた杜氏(職人さん)に逃げられたり、「ほこ*たて」にテレビ出演したものの反響がありすぎて出荷できなかったり…など、経営者でなくてもイメージしやすい失敗が次々と襲い掛かるさまは少年漫画のようにドラマチックです。

これらの小さくてわかりやすい失敗を本書の冒頭部分に持ってきたのは本書の注目すべきポイントです。もし、日本酒メーカーとしてのこだわりなどを最初から強調していたらすこしうるさい印象になってしまうためです。

この本から学べる企業コンテンツの作り方

日本酒製造という、比較的企業規模が小さく品質や値段もばらばらという業界では、より社長の想いや失敗の経歴がものをいいます。

食品や飲料など、工場で大量生産されるけれども高い品質を期待しているような製品はともすれば機械的に作られて事務的に届けられるような印象を持たれがちですが、それぞれの製品に込めた思いを知ることで、顧客がついてきてくれるのでしょう。

なお、本書は刊行後も旭酒造がたびたびニュースに取り上げられ、話題性は抜群。
2冊目も刊行されましたから、企業が継続的にコンテンツを生み出すために注目の企業かもしれません。

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