本づくりにおける「制作」と「製作」のちがい

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自費出版の場合は出版社が予算を負担して印刷、発売、流通などをやってくれるわけではありませんので、本を作る工程と本を販売する工程の二つに分かれる事になります。漢字で書くと制作と製作販売になるのですが、まず制作についてお話しします。

制作は簡単に言うと、最初に決めた企画書に従って本のデータを作る事になります。

具体的には印刷所に渡すための文章、写真、イラスト、図表などを入れたインデザインのデータを完成させる事を制作と呼びます。
その時点ではまだ印刷もされていませんので、どこでどう発売されるかは直接関係していません。あくまでデータとして誤字脱字のない完全な状態にする事が制作です。

製作は販売、パッケージングと言い換えても良いかもしれません。
つまり誰が何のためにお金を出して、誰が誰に発注しているのか、また発売主体、販売主体、著者、関係者は誰なのか、これらは全て製作になります。

具体的に言うと、例えばある有名な人が有名な出版社から本を出したいと思った場合に、出版社側が費用を負担して本作りをします。その際に出版社が下請けの会社に本作りを丸ごと投げてしまう事があります。

下請けの会社は制作の仕事を請け負って、企画書に沿って完璧なデータを作って出版社に持っていきます。出版社は再び予算を確認しながら印刷をして、倉庫に納入して、流通の手はずを整えて販売します。販売されると入金がありますから、それを管理して印税を払ったり、増産、重版をしたりという判断を下します。さらに本作りの過程では、著者が忙しすぎて自分ではほとんど書いていない場合もあります。他の記事でも出ましたが、ゴーストライターによって著者がほとんど何もせずに本ができてしまう事もあるわけです。

その場合に著者と実際に書いた人が違ってくるわけですが、実際に書いた人の名前は出さないでおこうとなった場合には元々の著者の名前を出す事になり、その判断は製作が下します。

作る行動そのものは制作、実制作と言うとよりわかりやすいかもしれません。

一方で製作には販売や予算の管理、責任の所在など本作りの主体の意味があります。あとは本が世の中に出た時に、どこの製品とみなされるかという意味もありますね。
自費出版の場合インデザインのデータを完成させるのが制作で、たとえ実際に作っていなくてもどこの出版社の本として世の中に出すのか、これが製作になります。

ビデオやDVDなどでよくあるケースですが、同じ製作でも発売元と販売元が違う事もあります。
発売元はいわば小売り、お店や通販などで実務を担当する所です。
一方で販売元は物として売っているだけですので、商品の内容などについてはよく知らない事も多いです。例えば

八百屋さんに行ってこのリンゴはどうやって作っているんですかと聞いても、それは農家に聞いてくれと言われるでしょう。この場合の制作は農家、販売元は八百屋さんとなるわけです。

本の場合はどうでしょう。
例えば書店で本を買った時に本が汚れていたら、まずは書店に言いますよね。
一方、本を読んでいて、詳しい内容について質問したいときは、書店員さんに尋ねるのではなく、発売元に電話して問い合わせますよね。

自費出版で気をつけるべき制作と製作の違い

自費出版の場合、著者として考えるべきなのは製作のほうですね。

誰がお金を出していて誰が売っていると名前を出すのか、ここを決めておかないと内容の細かい修正や誰に責任があるかも決まらないため、後々揉める事になってしまいます。実製作の方は言われたとおりに作る事しかできませんので、こういった所にはタッチできません。

よくあるのが実製作を依頼していた人がいても、何らかの事情で発売予定だった会社が急に倒産してしまったりして発売ができなくなってしまうパターンです。

その際、制作を担当している人に、別の発売元を探してくれと言うのは筋違いな話です。制作側はあくまで印刷するデータを完璧に作る事だけが責任の範囲内ですので、そこに発売元を探せと言う事はお門違いの要求だからでです。

自費出版の場合著者からすると同じように思えるかもしれませんが、制作と製作は全くの別物だという事を心に留めておいてください。

また製作についても発売後は発売元と販売元の二つがあるため、トラブルが起きた場合にどちらに責任があるのかを明確にして対処すべきだと言えます。

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