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僕たちは、新しい”暮らす”に挑戦する〜株式会社Livmo 出版記念インタビュー

今年で創業6周年を迎える不動産ベンチャー、Livmo(リブモ)は、これまでの不動産業界の常識をやぶる徹底したユーザーファーストを実現していることで知られている。
オーナー、ユーザー双方から常に感謝され、リピート率は驚異の90パーセントにのぼるなど、業界からも一目置かれる存在として、常に新たな事業に挑戦しつづけている。
その前身となったのは、不動産業界のファーストペンギンになるべく、2012年に若者たちで設立された不動産ベンチャー「妄想作戦会議室」だ。
今回は創業6周年を迎えるにあたり、著作『僕たちは、新しい「暮らす」に挑戦する』の刊行を記念して、これまでの6年間を振り返りながら、彼らが実現すべき「暮らし」について、代表である源 侑輝社長にお話を伺った。

「暮らしをより豊かにする」理念に集中した、あるきっかけ

Q:本を出すにあたって6年間を振り返ってみたとき、いまのリブモのかたちが完成した、と言えるのはいつごろの時期になりますか?

今のリブモができたのは、社名を変えたタイミングだと思います。
2017年6月に5周年パーティーを機に、社名を妄想作戦会議室からリブモに変更しました。

変化があったのは、2016年11月ごろでした。妄想作戦会議室という社名に対してオーナーから「変えたほうがいいんじゃないか」という指摘があったんですね。ユニークな社名ではあったのですが、それが弊害となって「この会社大丈夫なの?」といった声が出はじめていたのです。

僕らはユーザーファーストであるべきだと考えているので、ユーザー側に半信半疑な気持ちが出てくると良くない。それなら社名ですらも変えてしまおう、と決断したんです。

Q:語源となったのが、この「Live is more than Perfect.」という言葉ですが、これはそもそもこれはどこから来ているのですか?

これはもともと、「Less is more」という言葉があったんです。『エッセンシャル思考』という本にあったんですけど、意味としては「より少なく、しかしより良く」。そこからもじりました。英語の文字遊びが結構好きで。
会社の名前を変えるときに、僕らの会社って何を目指すんだろうということを考えたんですよ。「あの頃はいろんなことをやりたかったけれど、いまの俺達は、あの時よりも研ぎ澄まされているよね」っていう話になったんです。

創業当時は、「世界中の夢を集めたい」みたいな青臭いことばかり語っていたんです(笑)。だけど、いまこの不動産の仕事に落ち着いている。それをもっと言語化していくとどうなるだろうと思ったんです。

全員が、不動産という商品に興味があって、まず全員がその商品が好きだと。「こういう暮らしがしたい」となれば、インテリアにワクワクしたり、なかにはタイニーハウスにワクワクする人もいたりする。
だから、僕たちはオフィスビルよりも、暮らしのど真ん中にある住居に興味があったんです。

だったら、そこからミッションを作ろうよ、ということでつくったのが、「暮らしをより豊かにする」という理念。この理念から、「Live is more.」、つまり、できるだけ仕事を絞ろうという考え方になったんですね。
会社名のリブモ(リブモ)は、この「Live is more.」を縮めたかたちになります。

不動産業界の異端児としてリブモが挑戦してきたこと

Q:リブモは、この不動産業界の中でも異端児だと思うんですよね。若くて、外れ者たち、常識にとらわれない。そんなリブモが具体的に、常識外れなところを具体的に聞いていきたいと思います。リブモは、業界の一般的な会社とか他のベンチャーと比べて何が違うのでしょうか。

一つ目は「店舗」がないということですね。引っ越ししたいお客さんが行く、駅前にあるような仲介店舗がない。接客のために常にスーツ、ということもないです。通勤は自転車。オフィスに人はいますが、常駐で誰かいるということもありません。いわゆる不動産会社として一つどっかにあるという感じではないんです。

もっとカジュアルですし、問い合わせもメールやLINEです。むしろ、一対一でお客さんが相談しやすいように、ウェブ上でのやり取りに結構時間をかけていますね。
だから逆に場所は選んでおらず、無理にオフィスに呼ぶこともありません。お客様のオフィスの近くのカフェに行ったりすることも普通です。

Q:どこでも仕事ができるというのは、不動産業界では非常に珍しいですよね。

そうですね、珍しいと思います。また、世の中の不動産会社にあるような、 「客寄せ看板」や「おとり広告」ももちろんやってません。客寄せ看板とは、不動産店舗の窓ガラスに良い物件が並んでて、それを見て中に入ると「決まってしまいました」と言って、ほかの物件を勧めるという手口です。

良いやり方を続けていくうちに、必然的にプル型になったということですね。

いま、リブモには10人ほどの営業担当者がいますが、その10人の半数以上は、もともとほかの不動会社を辞めて、リブモに入ってきたんですね。

彼らが持っていたのは、「自分のお客さんは自分が大切にしていきたい」という仕事への想いでした。店舗とかでよくやる「売上をとにかく上げろ」「礼金を乗せろ」「できるだけ仲介手数料を取れ」といったような、オーナーからもお客さんからもお金をできるだけ取ろうという考え方ではやっていないのです。

いわば、不動産業界が嫌になってきた人間がメンバーになっているので、違うところに価値を置いているわけです。本当にお客さんにとって良いポイントを引き出してあげて探してあげたい。スタッフもこうした想いで構成されているのですね。

Q:他にリブモの特徴を挙げるとすると何ですか?

不動産そのものではなく、その先の暮らしに価値を置いているということです。不動産そのもの、箱に対しての価値というものは重要視しておらず、そこにあるプラスの価値のほうにフォーカスしているんです。

例えば、新築の家があったとして、その家をどれだけ魅力的に伝えられるかということが今までの不動産営業の常套句でした。ただ正直、どんな家も見てもそんなに差はありませんし、むりやり魅力を伝えても仕方ない面があります。それ以上に、「その後、そのお客さんはどんな暮らしがしたいか」を思い描けているかどうかのほうが重要で、そのために家が必要だと考えるべきなのです。

今までの営業マンの常套句といえば、「日当たり良好」とか「駅近」なんですけれども、正直そんなのどの物件を見ても大差ないんです。

僕らが重要視しているのは、そこにその人がいて、どんな暮らしをしたいのか。未来の暮らし、顔が見えているかが大事なんです。手に入れたい暮らしがあって、そのために家が必要なだけです。家は手段ですから。

だから、お客さんがイメージしている暮らしについては、「その暮らしってどんな暮らしなのですか?」という質問からはじめて、すごく念入りに聞くようにしています。

必然的にお客さんと話す時に踏み込むし、相手を理解して物件と繋ぐという側面があると思います。そこまで掘り下げるのは、店舗での対面的な接客ではむずかしい。
むしろ、店舗がないほうが、深く理解できる。店舗の維持費をかけるぐらいであれば、もっと時間をかけて一人一人掘り下げていきたい。それが本心です。

実際、お客さんが話すのは最初、家賃の上限だったり間取り、駅からの距離だったりといったことなのですが、こちらから暮らしを掘り下げていくと、良いと思う物件の条件が大きく変わったりします。

Q:物件ではなく、その先の暮らしのほうが優先だよというところがポイントですね。暮らしって、「幸せ」とか「生きる」みたいにすごく広い言葉だと思うんですけれども、リブモの考える暮らしって何ですか?

暮らすにも様々なものがあり、その一つ一つに理解を持たなければいけないと思います。暮らしの定義は広く、「働く」ことも暮らしの中に入っているのかもしれません。たとえば、家にオフィスがある人であれば、すぐそこで働ける環境がある家があったほうがいいと思うんですね。

とは言っても、逆にこちらから物件を押し付けるようなことはしていません。あくまでこちらが提示するのは可能性。お客さんが冷静に判断できるよう、客観的な情報を提供するというところがポイントです

衣・食・住のなかの住って、義務教育を含めてどこでも習わないわけです。たいていの人の初めての「住教育」はいつかというと、一人探しをするときの部屋探しのタイミングで不動産会社がやるんです。例えば大学の入学のタイミングですね。しかし、それまで知識がないから、不動産会社の言ったことが正となりやすく、「なんか違うんだけどなあ」というモヤモヤ感を抱えながら妥協して部屋探しをしている人が多いです。
他をちょっと探せば良い物件がいっぱいあるのに、比べることすらせずに決めてしまうような状況です。

住を学ぶ環境がないという状況は、日本の不動産賃貸市場のリテラシー不足を高めていると考えています。
どこでも習えないのであれば、僕らリブモが住の基本的な考え方を教えるところからやっていくしかない。そこには、時間がかかるなと思っています。そこまでお客さんに教えるという意味では、営業マンではなくコンサルタントに近いかもしれません。一度習っていれば、その人は今後の人生でずっと不動産を選ぶことができますから。

若い会社として、不動産業界の負の側面にチャレンジしてきた

Q:現在の事業に行き着くまでに、どんな経緯がありましたか?

僕らは暮らしを豊かにするために必要なことが2点あると思っています。
一つ目は、暮らしが見つけやすいこと。
もう一つは、自分自身がどういう暮らしをしたいかが考えやすいこと。

「暮らしが見つけやすいこと」というのは、例えば他の業界であれば、欲しいものがお店になかったら、オンラインショッピングで発注すると思うんです。本でも雑貨でもそうですよね。

しかし、不動産に至ってはそうではありません。インテリアや暮らし雑誌を見ても、実際にその暮らしができる家にたどりつくにはあまりにハードルが高い。「なにか、良い物件ないかな?」と日頃から不動産営業マンに聞き続けなければいけない業界って、よく考えたらおかしいことです。探しにくくてミスマッチが起きているし、出会いがないから作る側も苦労する。10万社もいるのに、その悪循環なのです。

僕が23歳で創業したとき、その不動産業界を見るにつけて、これではダメだなと思っていました。
妄想作戦会議室という会社名をつけたのも、新しいことをやっていきたいという想いからです。「妄想」ですから、0から1を考えることから始まります。誰でもアイデアを出して一緒につくっていくというイメージです。

創業から数年間は、いわゆる不動産業にとらわれず、暮らしをつくることにフォーカスしていろんなことをやっていました。シェアハウスをつくったり、シェアビレッジという郊外型ファームビレッジにも挑戦しました。

その時に思っていたのは、不動産業界では足りていなかった「ファーストペンギン」になるということ。ペンギンの群れのなかで、最初に海に飛び込むペンギンなれば、そのあとにみんな後をついてきてくれると。「勇気を持って行動する」ことは実践できていたかなと思います。この時期が3年ぐらいありました。

やっては次、やっては次という時期を経て、3年経つといろんなものが削ぎ落とされていきました。やってみたいことは次々と浮かんでくるのですが、時間とお金というリソースが減っていったんですね。
「これは全部やろうと思うと全部できなくなるな」と思ったんです。
何かに集中しないといけない。ではそのなかで、何が一番僕らのやりたいことをの中で一番重要なのだろうかということを考えたんです。

当時、創業メンバー全員が一緒に寝泊まりしていたんです。話しているうちに、僕らは、こうやって語っている暮らし自体が好きなんじゃないか、こういう状態にいること自体が好きなんじゃないか、と気づきました。
どうやりたいかではなく、どうありたいかのほうが大事。そんな話になったんです。

では、「どうありたいか」を考えていくことは、人の暮らしだということで、その暮らしたいを叶えていける不動産会社がやりたいよね、という話にまとまりました。どうありたいか、ということから僕たちのサービスを作っていこうと決意したんです。

Q:3年目が終わって4年目、5年目のなかで、不動産業界の負の側面に対してチャレンジできた部分はありますか?

一つの成果として、ITの活用が不動産業界でできたということがあります。僕たちは、国交省の社会実験登録企業に選ばれているのですが、これはウェブ上で契約業務を行なってもいいという宅建業者として認められているわけです。

もう一つが、法律。住宅宿泊事業法という民泊の法案を設立するときに、有識者会議に招へいされて、法律の意見陳述をすることができました。新しい事業に関する法律を作るところにリブモの知見を集めて提案できたところは、大きな成果だったと思います。

Q:これまで、顧客の声としてどんなものがありましたか?

リブモはオーナー、ユーザー双方と関わりをもっている会社なのですが、その両方から声をもらっています。

まずオーナーさんからは、「満室になった、ありがとう」と感謝を伝えられました。

あるオーナーさんで、シェアハウス物件を購入したけれども全然入居者がいなくて赤字、返済も迫り自己破産する直前だったところを、リブモが管理をすることで改善できたんです。入居者を募集して単価もあげるかたちで、返済の可能性を残すことができました。当初の投資計画よりは低くなりましたけれども実態が合っていなかった計画のズレを、少しずつ回復していくことができたのですね。

またユーザーからだと、暮らしに深く関わった人からも声をもらうことができました。

あるユーザーさんで、経済的事情で家賃を滞納しがちな借り手がいたんですけれども、就職することができたので、「この月からなら払えますね」という家計設計をしてあげたんですよ。先日その人から、「あのときはありがとうございました」と連絡がきたんですね。「リブモさんのおかげで今の家に住めたし、住所がある。今の家から近いところで就職もできました」と。

ほかの例だと、うちの管理物件に住んでいる外国人の方からは、感謝されることが多いですね。いろんな日本の詳しいライフスタイルを教えているのです。ゴミの分け方ひとつとっても、「こんなに細かく分別するなんて知らなかった」と言われるんですね。

またオーナーから、次の提案をいただくことも増えてきました。また次も一緒に物件を作りたいという関係を作れているため、次も一緒にやりたいよね、という声をいただいています。たとえば先日あったのが、山梨と東京を行き来するようなシェアハウスを作りたいという提案でした。こうしたアイデアもユーザーファーストの観点から生まれた話だと思いますし、オーナーからもユーザーからも喜ばれる仕事が着実にできてきたなと感じています。

またユーザーの中から、 今度はリブモのスタッフとして働きたいという人が現れるようになりましした。「リブモのミッションに共鳴した。スタッフになりたい」というのですね。
不動産業界で家を仲介してもらって心を打たれて、そのまま社員になるという話は聞いたことがありませんね。やはりそれぐらい魅力があるし、リブモの未来のビジョンが見えたことの証だと思います。

創業6年、リブモはさらに面白くなる

Q:最後に、今後の展望を聞かせてください。

現在は登録オーナー数が300人、管理物件数が350、「シェアコレ」「ミンコレ」といったポータルサイトを運営して(現在は売却済)、新しい暮らしを探している若い世代を中心に広がっていることを体感しています。

まだまだ、リブモは志半ばですが、6年を迎えるにあたり、さらに実現したい未来があります。
不動産と暮らしの未来のために、僕たちが新しい暮らすに挑戦し、未来をつくっていくその様子を感じ取っていただければ幸いです。

源 侑輝(みなもと・ゆうき)
株式会社Livmo 代表取締役。1988 年、北海道函館市出身。北海道学在学中に不動産業にて起業。その後、地域活性を目的に「地消地産」をテーマにした八百屋事業を展開するも、個人の経営スキルの限界を感じ、2011 年に北海道大学を中退。その後上京して社会起業大学に入学、ソーシャルアントレプレナーシップを学ぶ。2012 年、“豊かな暮らしを作る” をミッションとして、株式会社 妄想作戦会議室(現・株式会社Livmo)を創業。「ユーザーファースト」を何よりも優先し、従来の不動産業界の常識や制度にとらわれない新しい暮らし作り、流通マーケット作りに挑戦する。
2018年に『僕たちは、新しい「暮らす」に挑戦する』(CONTE)を出版。