出版刊行記念セミナーが失敗する理由

出版, 情報発信

出版刊行記念セミナーが失敗する理由についてお話しします。

自費出版の場合はあまり関係ないかもしれせんが、商業出版の場合は出版社主催で刊行記念セミナーをする事があります。出版記念パーティーとも言いますが、これはほとんどの場合上手くいきません。
その理由を、私の実際の経験からお話ししたいと思います。

刊行記念セミナーとは?

まず刊行記念セミナーとは何かと言うと、書籍の発売日が大体決まっている状態で、発売日の前後に書店さんが〇〇〇〇のために書店さんの持っているスペースや、書店さんの近くにあるスペースを借りて40~60人多い時には100~200人くらいの人を集めて著者が本の内容について話すイベントのことです。

参加費の目安は2000円くらいで、中には無料のイベントや本を買った人だけが参加できるものもあります。正直、費用対効果がないためあまりおすすめしていません。まず刊行記念セミナーをやる場合、場所は東京都などの都市部に限られてきます。そうなると会場まで足を運べる人でなければ来てもらえません。本は全国で売っていたとしても、来られる人は都市部の人だけになります。また本そのものは好きだけれど著者の生の話は聞かなくてもいいと思っている人も多く、リアルで話を聞きたい人は読者の中でもほんの一部です。その人向けにエネルギーをかけて、たくさんの人員を割いてやるべきイベントなのかを考えなくてはなりません。もう一つは日程の周知期間が短い場合で、本の発売日が決まってから動き出しているようでは1か月ほどしか時間がありません。周知期間を十分に設けられないまま、場所が空いているからなんとなくやってしまう事もあります。私の経験としては、2か月くらい前から日程を決めて周知しないと間に合いません。例えば、募集側があと10日もあるからと思っていても、実際に考えてみると10日後のスケジュールは意外と埋まってしまっているもので、結果誰も来ない事も十分にありえるわけです。その場合はサクラを呼んだり、知り合いに無料でいいから来てくださいとお願いする事もよくあります。実際に私にも出席の依頼が来る事がありましたが、読者でもないサクラを置いても誰も得をしませんよね。またケータリングなどを利用する場合もありますが、その分が損になってしまう事も考えられます。あとはそもそも担当者がやりたくないのにイベントをやっているケースもあります。つまり担当者はやらなくてもいいと思っていても、編集側に販促の方法があまりない場合は上司からやれと言われて仕方なくという事があるわけです。しかし担当者はセミナー運営のプロではありませんので、やり方もイマイチで余裕で赤字になってしまう可能性もあります。これは非常に悲しい事ですね。また、来る側のお客さんからすると本の内容と同じような事を話すだけですので、わざわざ時間を空けて行く必要はないだろうと思っている人も多いです。芸能人のサインが貰えるとなれば話は別ですが、ビジネス書の著者であって芸能人ではないからです。お客さん側からすると、著者に興味があるというよりも本の内容に興味があるのだとしっかり区別するべきですね。値段についてですが、実は無料のセミナーはあまり良いとは言えません。価値がない事もそうですが、何よりキャンセルされやすいです。無料とは言うものの会場に行くまでの交通費や時間もかかりますし、他の予定も入れられません。行く側からすると、参加費は無料だとしても行くまでにはそれなりのエネルギーが必要になるわけです。実際に無料でイベントをやってみると簡単にキャンセルができてしまうため、お客さんの心には申し訳なさが残るもののエネルギーのダメージはありません。

さらに呼ぶ側も、無料となるとどうしても適当になってしまいがちです。人間は面白いもので、無料のセミナーは定員の6割くらいの参加になります。これはどんなセミナーでも同じですし、社会経験則で決まっていると言ってもいいくらいです。例えばこれが1000円だとしても、1000円払えば欠席でもいいと思われてしまいます。つまり有料でも安いと来ないわけです。

これを3000~4000円にするとイベントの価値が上がりますので、4000円で本も貰えて話も聞けるし、料理も出るなら行ってみようかな、しかもそれだけの金額を払ってでも来る人達なら交流も楽しそうだなと考えるわけです。
ところが4000円のセッティングとなると、価値が上がる分準備する側は大変です。会場も良い場所を選ばなければなりませんし、エネルギーがかかります。そうなると今度は担当者側がやりたがらないわけです。すると無料にして自分の責任を軽くしようとしますが、先ほどもお話ししたように無料では人が来ません。

当然5000~10000円の高額にすると利益はあるかもしれませんが、単純に考えて高いので数人しか来ません。赤字にはならなかったとしても、刊行記念セミナーとして期待していた勢いはなくなってしまいます。その辺りを考えると、刊行記念セミナーは非常に目的が曖昧です。

そもそも本を買ってもらうためのイベントを、数十人向けにたくさんの人員やエネルギーをかけてやる事は、費用対効果としては間違っていると思っています。

もしやるとするなら、マスコミを呼べる場合のみやるべきだと言えます。いわゆるプレス発表会にお客さんを呼ぶくらいのイメージであればやるべきですね。プレスは来た人数以上に新聞やWEBニュースになってたくさんの人に伝わりますので、これは非常に価値があると言えます。また専用で囲み取材の時間も取れますので、取材する側にとっても非常にやりやすいです。私のこれまでの経験で上手くいった例はこのケースのみです。

実際にスポーツ選手の本を出した時に私もついて行きましたが、囲み取材もありましたしマスコミが集まる事でとても賑わいました。さらにマスコミが来る事によって、お客さん側も価値を感じるわけです。新聞などにも載りますので、まさに良い事づくしですね。ですから著者が芸能人ではなく、マスコミも来ない無料のセミナーとなると、ほぼやらない方が良いと思っています。同じエネルギーを使うなら、もっと別の所に使いましょうと提案しています。

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